優しい腕の中
温もりを感じながら
君の傍で眠れたらなぁ
猫 に な り た い
部活が無い帰り道
と白春は並んで歩いていた。
二人が行く先は、願い事がよく叶うということで有名な神社。
甲子園で優勝できますように、とお願いしに行こうということになったのである。
他の人(主に屑桐・録・芭唐)にも一緒に行こうとが誘ったのだが
どうやら皆、揃いも揃って用事があるようなので二人だけで行く事になった。
「(…その方が好都合ング…)」
白春はこの状況を嬉しく思っていた。
なにせ学校で二人っきりになろうと思っても、何故か
何処からとも無く邪魔が入って結局と自分との間に誰かが割ってはいってしまうのだ。
二人っきりで、しかも放課後どこかに行くなんて、まるで夢のような事だった。
「でね、でね白春」
名前を呼ばれての方に顔を向ければ、可愛い笑顔で話しかける姿。
いつになく饒舌だ。
「マイケルはね、こう尻尾が長くて…」
マイケル 尻尾 …
「こうやって耳の付け根の所らへんをこちょこちょすると恍惚とした表情に…」
耳の付け根 恍惚 …
「ネズミおもちゃにじゃれつく姿がすっごく可愛くて…」
ネズミおもちゃ … … …
「……白春、聞いてる?」
「う゛ん、聞いでるングよ」
「本当?」と訝しげに見ただったが、白春がズズッと鼻をすするのを見て軽く息をつき、
気を取り直すとまた意気揚々と話しに夢中になり始めた。
その姿を見て白春は胸のうちでホッとし、またちょっと…ウンザリもした。
…何故ならは、ずっと自分の飼っているネコについて熱く語っているのだ。
白春は、せっかくが自分に話しかけてくれるのだから一言も聞き逃すまいと
ずっと頑張っていたのだが、さすがに、これだけ聞かされると疲れてきた…。
「でね、この前なんか…」
「ちゃんちの゛ネコは幸せングね」
終わらないマシンガントークにとうとう割って入った白春。
はきょとんとしたが、その後照れるようにえへへと笑った。
「(…可愛いング…)たくさんちゃんに゛大切にされてるがら」
「へへへ、うん。大好きだもん////」
大 好 き だ も ん
「(…マイケルが羨ましいング)」
また熱を帯びながら語り始めたを見ながら白春は心の中で呟く。
「大好きだもん」と言った時のの表情に、正直ドキっとした。
いいな゛ぁ
オラもちゃんちのネコになれたらな゛ぁ…
あんなふうに笑ってくれるのかな゛ぁ
「――白春?白春っ?」
「ん゛、あぁ聞いてるング…ズズッ」
「白春、着いたよ」
「ん゛…」
いつの間にか目的地まで着いていたようで、は白春の袖を引っ張って
気付かせると、二人は神社の境内の中へと入っていった。
「お賽銭を入れて…」
ちゃりん ちゃりん …
「拝む!」
ぱんぱん!
「………」
「………」
「………」
「………」
「……白春、終わった?」
「…う゛ん」
「よーし、今年は華武が甲子園優勝よー!」と叫びながら気合を入れているを見ながら、
白春は違う事を考えていた。
「(…本当に、叶わないングよね)」
こんなバカげたこと
「じゃあ、白春!そろそろ帰ろっか」
白春が甲子園優勝と、もう一つ密かにお願いしたこと
それは――
「白春、他に何かお願い事した?」
それは――
「秘密ング」
君の猫になりたい
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ぽっと出たお話。短くを目標に。
白:また微妙ングね…
そうですね…
白:もっと糖度高くできない゛?
私には無理です。
白:ここまで読んで下さったさん゛、本当にごめんなざい。
博モるの!?
2004.8.4