かみさま、かみさま。どうかを、きれいなおよめさんにしてください。

あと、の好きなひとが

えいえんのあいでむすばれますよーに。




しが、ふたりををわかつそのひまで!










 I wish 











任務の帰りに立ち寄った町で、二人並んで歩くアレンと


のんびりとした表情の町人

農作業に勤しむ夫婦

無邪気そうな子供の声

年期の入った窓枠の中には、編み物を嗜む女性の姿


それと空と地と、広い畑と…



目に入って来るその町並はのどかな田舎といった具合で、

歩いている二人も心の故郷的な…どこか安心できる風景だった。




「何か、いいねぇ…ここ」

「そうですね。すごく落ち着く、風景ですよねぇ…」

「うん。荒んだ心もなごむっていうか…」



日頃、身体的にも精神的にも疲労している事が多い二人は、

田舎ののんびりした雰囲気にすっかりリラックスし、マッタリと

散歩をしているかのようにしばらく村を歩いていた。



「あっ」

「ん?何ですか?」

「あれ…」


すっと伸された指の先には、町の中で一番高い建物の姿が。




「…教会・・・ですか?」


「うん。アレン、私あそこの側まで行ってみたいんだけど…ダメかなぁ?」

「いいですよ。じゃあ行きましょうか」

「ありがとう」




教会を中心に形成された町。

教会の尖塔を見失うほど建物はなく、真っ直ぐ目的地に辿り着いた。





「わぁ〜〜〜っ」




「何か楽しそうですね、




教会の全貌を目にして、子供の様に無邪気に声を上げる

それを隣でクスリと笑いながら。

その教会は、何て事ない普通の、こじんまりとした

都会のと比べたら小さく古びていて汚い・・・そんな教会だった。


だが何故かは知らないが、妙にの感性に響いたらしく

はただうっとりと教会を見つめていたのだった。



「…可愛いよねぇ」

「可愛いですか…?」



アレンにとってその教会の外見は、

どこか懐かしいものであり、幼少期の…

クロスと出会い、麻痺した腕のリハビリを兼ねて過ごした

あの教会を思い起こさせるものだった。



(マザーとバーバ…元気かなぁ)




「確かに…この町に似合った、いい雰囲気の教会ですね」

「…中に入っても、いいかなぁ?」

「中にですか?う〜ん、今ならミサもやってないみたいですし…」



「神父様に挨拶すれば大丈夫だよね」



そう言いながら教会の扉を開けようとする

重い木製の扉を開け、二人は中に入った。



「ほわぁ〜〜〜っ 中も思った通り!」

「神父さまは居ないんですかね?…あっ


きょろきょろと回りを見ながら勝手に奥へ進んで行く

その後を追って奥に進むと、すぐに小さな祭壇の前に着いた。


胸の前で小さく十字をきり、祈りを捧げる

壇上には蝋燭と、十字架の神…その脇には古びたオルガンがあり

窓には小さいながらもステンドグラスが張られていた。







「いいなぁ。

…私ね、こういう教会で結婚式をするのがずっと夢だったんだぁ」





「…結婚式、ですか?」





何となく無意識に、が白いドレスを着て微笑む姿が頭に浮かぶ。

自然と、顔がゆるむ。





「うふふ、すごく子供じみた夢でしょ?」

「狽「、いえ!そんな…」



「実はね、

私の生まれた村が、ちょうどこの町の雰囲気と似てて…

のどかで、太陽が一杯注いでて…

…ここの教会もね、似てるの」



「そうなんですか…」



初めて知った、の過去、生まれ故郷の事…。

もう一度教会を見渡してみる。


黒い染みや、傷の跡…


何だか妙に納得して、彼女の故郷を、自分の中で想像した。







「…でも、こんな子供じみた夢も…

     叶えられそうな気が…しないんだ」





「?…どうしてですか?

これからだって、誰か大切な人と出会って、そして…」


「そうだね。でも…

………結婚する前に、死んじゃうかもしれないし」




彼女は微笑む。




「私はエクソシストで、もう農村の娘じゃない…

明日死ぬか…いつ死ぬかも分からない身だから…」


「……」


「あはは、アレン、マイナス思考だって言わないでね。

私はエクソシストになってから、もう色々と悟ったの」





明日はあなたが死ぬかもしれないし、私が死ぬかもしれない。

今日見た夢も、明日見る笑顔も────…

何かを捨てて、失くして出来る、世界の均衡。






「はは、でも…こうやってるって事は…

……まだ納得してないって事なのかな…」


まだ、微笑みは消えなかった。

















「ん?」









「結婚しませんか?」






「……。

……………。

…………………へ………?」







何と言ったか分からず、キョトンとする。





「ぁ、えっと…その…////

……………僕と…今から、結婚しませんか?」


「ぁ……えっ!?

い、今から…けっこん?アレンと……!?!?」


「そうです。今からここで、僕との結婚式をするんです。

   …あの、もちろん……さえ良ければ…ですけど////






「…!////」





言葉の意味を理解し、突然のプロポーズに顔を真っ赤にする

…しばらく固まった後に、コクンと小さく頷いたのをアレンは見た。





「…良かったぁ。一瞬ダメかと思いましたよ、僕;」

「ごめんね、私ビックリしちゃって…それで…」


アレンが微笑み、も笑う。

の目尻にはキラリと涙が光った。



「でも…アレンは私でいいの…?」

「僕はがいいんです。ついでに言うと、じゃなきゃダメです」











「…ありがとう…」

























「さぁ、教会に入るところから始めますか」

「…うん」


アレンが差し出した手を取って、二人で扉のところまで行く。



「何か緊張しますね」

「うん。…二人だけだけどね」

「さぁ、

「うん」



の右腕がアレンの左腕に掛けられた。

扉をくぐって、二人並びながら奥の祭壇までゆっくりと歩調を合わせがら進む。

そこにはオルガンも響かなければ、観衆も居ない。

足下に伸びるのは純白のバージンロードではなく古びた教会の、擦れた絨毯。




二人だけの、結婚式。














「…ここからどうすればいいのかな?」


もちろん神父も居ないので、二人は見よう見まねで式をする事にした。




「じゃあ僕が先に誓いの言葉を言うので、はそれをマネして言って下さい」

「…わ、分かった;」







「コホン…じゃあ…


汝、

夫アレン・ウォーカーを生涯愛し続ける事を、誓いますか?」



「…ち、誓います////」



「なっ、汝、アレン・ウォーカーは

っ…妻を………

……私の時が止まるその時まで…愛し続けることを、誓いますか?」



「はい、誓います」

「/////」









「…、左手出して下さい」

「う、うん…」


アレンに言われた通り左手を出す

するとアレンの手にはいつの間にやら銀色に光る物体が握られていた。



「!? アレン…それ…」


「驚きました?

実はこれ…ここに来る前に寄った街で偶然見付けて…

に似合いそうだなぁと思って、買ってたものなんです」




アレンがにっこりと笑う。




銀のシンプルなリングに、小さい青い石がきらめきを灯す。

リングはの左手の薬指に、するりとはまって輝いた。



「…きれい…」

「…安物ですけど、今はこれで勘弁して下さい;」

「ううん、ありがとう。すごく嬉しい…」



自分の左手の薬指に輝くリングを見つめながらうっとりとする


「…そうだ私も…リングじゃないけど、これあげるね」

「?」



そう言うと、おもむろに服のファスナーを下ろし、

首に掛かってたペンダントをアレンに渡した。



「これね、私のお守り」

「いいんですか?そんな大事な物を…」

「うん、いいの。アレンにあげる。…大事にしてね」

「はい、ありがとうございます」






「えっと、リングの交換の後は…」

「誓いのキスですね」

「そっ、そっかぁ////」







ベールの代りに、の額にかかる髪を優しく撫ぜる。

が瞳を閉じたのを合図に、二人はキスを交わした。




「…

愛してます。

これからもずっと、この先もずっと…」



「…うん。私も…」



二人とも照れを含ませた瞳で笑う。

















神さま、神さま、誓います


死が、二人を分かつその日まで

I wish......










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思い付いて一気に書きましたのでおかしい所が
多々あるかもしれません……。あうう。
書いてて恥ずかしかったです。あー甘いのはダメだー。
読むのと書くのは大違いだと言う事を改めて実感。。。


ここまで読んで下さったさん、ありがとうございました。



2006.3.4